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日本のセキュリティ人材を国際的イベントに送り出せ!第2回「CyberTAMAGO」の現場レポート

今回は、2024年11月15日(金)に国際的なサイバーセキュリティカンファレンス「CODE BLUE 2024」の会場内で開催された「CyberTAMAGO」の様子をお届けします!

「CyberTAMAGO」は、セキュリティ分野で活躍する人材がスキルを磨きながら挑戦し、成長できる場を提供するイベントです。昨年初めて開催され、今年で2回目を迎えました。このイベントは、サイバーセキュリティクラウド(以下、CSC)の代表取締役 CTOである渡辺が企画・運営を手掛けており、今年はCSCからも1名が登壇しています。その熱気あふれる現場を、ぜひご覧ください!

■「CyberTAMAGO」ってどんなイベント?

「CyberTAMAGO」は、サイバーセキュリティに関連するツールやコード、革新的なアイデアを発表し、プレゼンターの自信を育むためのプラットフォームです。このイベントでは、国内外で注目される大規模カンファレンス(例:BlackHat Arsenal、DEFCON Demolabs、CODE BLUE Bluebox)で発表することを目指し、次世代の発表者を育成します。

特徴的なのは、そのプレゼンテーションスタイルです。
プレゼンターとモデレーターが対話形式で議論を深める「パネルディスカッション形式」を採用し、聴衆との双方向コミュニケーションを重視しています。また、ハッカソン形式を取り入れ、その場で機能を追加したり、参加者のスキルを引き出したりと、単なる聴講にとどまらないインタラクティブな内容が魅力的です。

2023年の初開催を経て、今年は昨年を上回る多くの方々が参加し、さらなる盛り上がりを見せました。

■「CODE BULE 2024」会場の一画で「CyberTAMAGO」開催

今年も「CODE BLUE 2024」の会場内で「CyberTAMAGO」が開催されました。到着すると、すでに大勢の人々で賑わい、国際イベントらしく多国籍な雰囲気が広がっていました。

ワークショップが行われたエリアは、個別に仕切られた部屋で構成されており、参加者同士が自然と交流しやすい設計になっていました。初参加の方でもリラックスして会話が生まれるような、温かく居心地の良い空間が用意されていました。

左:今年のネームパス。右:昨年のネームパス。

参加者には企画立案者の一人のエミリオさんがデザインしたオリジナルネックストラップが配布されました。
TAMAGOの目が光るギミック付きで、参加者12名だけが手にすることができる限定グッズです。昨年もとても可愛いデザインで、「コレクションしたくなる!」と大好評でした。
■登壇者たちの緊張と笑顔

「CyberTAMAGO」に挑戦する登壇者たちは、イベント開始前の最終打ち合わせに真剣な表情で臨んでいました。運営メンバーからのアドバイスを受ける中でも、リラックスした笑顔が時折見られ、会場には適度な緊張感と和やかな雰囲気が広がっていました。
■CSCエンジニア山本の挑戦

今年の「CyberTAMAGO」では、CSCのエンジニアである山本が登壇しました!彼が発表したテーマは、Web APIセキュリティツール『sasanka』についてです。

『sasanka』は、オープンソースソフトウェア(OSS)であるKongのプラグインとして開発された、Web APIを保護するためのツールです。近年、APIセキュリティへの関心が世界的に高まる中で、まだ十分に認知されていない課題を解決するため、OSSとして公開し、広く活用してもらうことを目指しています。

山本は、ツールの具体的な使い方や導入事例について詳しく解説しました。たとえば、Kongプラグインをサーバーの前に配置することで攻撃を検知する仕組みやさらに、『sasanka』は単一のプラグインではなく、カスタマイズ性を高めるために複数の独立したプラグインが用意されていることも説明しました。

また、使用者からの「こんな機能が欲しい」といったフィードバックを積極的に募集しており、今後のアップデートや新機能の追加にも意欲的に取り組んでいく予定だそうです。

登壇後の質疑応答では、「CTOの前で発表するのはどんな気持ちですか?他の方とは違う緊張感があるんだろうなと思って聞いていました」という感想が寄せられ、会場が和やかな笑いに包まれました。さらに、CTOの渡辺から「お疲れ様」とねぎらいの言葉が贈られ、山本の挑戦を称える温かなムードが会場を満たしました。

■「CyberTAMAGO」企画・運営者にインタビュー

左から、代表取締役CTO 渡辺 洋司、マクニカ株式会社 凌 翔太氏、Emilio Couto氏

「CyberTAMAGO」の企画立案者である3名にイベントの背景や今後の展望についてインタビューしました。

【参加メンバー】
・株式会社サイバーセキュリティクラウド 代表取締役CTO 渡辺 洋司(以下、CSC渡辺)
・マクニカ株式会社 凌 翔太氏(以下、マクニカ 凌氏)
・Emilio Couto氏(以下、エミリオ氏)

Q:このイベントがスタートしたきっかけを改めて教えてください。
CSC 渡辺:
ラスベガスでBlack HatやDEF CONに参加した際、CODE BLUEの篠田さんや凌さんとお話ししたのがきっかけです。その中で、日本のエンジニアがもっと国際的な舞台で活躍できる場を作りたいという話題が出ました。日本国内でもツールの紹介をする機会はあるものの、もっとカジュアルに発表できる場があったら良いよね、という考えからこのイベントが生まれました。

マクニカ 凌氏:
そうですね。渡辺さんもおっしゃっていたように、最初のきっかけはCODE BLUEのオーガナイザーである篠田さんから「イベントをやってみないか」と声をかけていただいたことです。その時点では具体的な内容は決まっていませんでしたが、私自身、海外で自作ツールを発表した経験があり、同じような機会を多くの人に提供したいと考えました。そして、そのアイデアをさらに形にするためにエミリオさんをお誘いしました。

エミリオ氏:
日本の方はどうしてもシャイな傾向があり、世界の大きなイベントで自分のスキルやアイデアを発表するのをためらいがちなんです。ですが、何事もまず「やってみる」ことが大切ですよね。このイベントでは、その最初の一歩、いわゆる「First Step」のさらに前段階として、もっと気軽に発表できるカジュアルな場を目指しました。イベント名にある「TAMAGO(卵)」のように、殻の中にあるアイディアをひよこに育てていこう!というメッセージを込めて、参加者のモチベーションを高める場にしたいと考えています。

Q:今年で第二回目となりますが、今回の発表はいかがでしたか?

イベント中は立ち見が出るほど大盛況!

CSC渡辺:とてもしっかりした内容でとても良かったです。しかし、一方でもっとこんなのどう?みたいなアイデアレベルが集まると、ディスカッションできるし、ハードルが下がるんじゃないかなと思いました。
だんだんハードルが上がって行ってしまうと他の登壇と変わらなくなってしまうし、もう少しハードルが下がるものでもいいかなと。自分でもできるんだという「TAMAGO」感は引き続きあるといいなと思います。いい意味でも悪い意味でも今回はクオリティが高いですね。

マクニカ凌氏:そうですね。感覚的には完成度が上がっている気がするというのと、お客様の数は今年の方が多かったように感じます!どんどんいろんな人が注目をしてくれていますね。

エミリオ氏:今年は、ツールとアイデアのバランスが非常に良かったと感じます。本来、このイベントでは、アイデアだけを持ち込むのもOKですし、ツールが途中段階でも、あるいはほぼ完成していても問題ありません。今年は特に、アイデアとツールのバランスが絶妙で、発表の内容に見ごたえがありました。

Q: 今後の「CyberTAMAGO」の目標について教えてください。

CSC 渡辺:
もともとの目標は、「CyberTAMAGO」をきっかけに、海外のカンファレンスで発表する方を輩出することです。その成果が少しずつでも形になっていけば嬉しいですね。

凌氏:
「CyberTAMAGO」で発表した方々が、さらに海外のカンファレンスにも挑戦していけるよう、つながりを広げていきたいと思います。これからもそのサポートができる場を作っていきたいです。

エミリオ氏:
これまで「CyberTAMAGO」は年に1回のイベントでしたが、今後はさらに新しいイベントにも挑戦してみたいと考えています。「CyberTAMAGO」の開催回数を増やすなど、発表の機会をもっと提供できるよう工夫していきたいです。

今年も多くの「TAMAGO」と出会えた「CyberTAMAGO」。次回の開催も、期待が高まります!今後も様々なイベントレポートをお届けしますので、どうぞお楽しみに!